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ヒト由来【幹細胞コスメ】に人間の細胞は入っていない…なぜ?

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何度か記事にもしていますが、「幹細胞コスメ」だからといって、ヒトの幹細胞そのものがコスメに入っているわけではありません。

ただし「幹細胞が入っていない=効果がない」ということではないんですよ。幹細胞から培養液へ分泌された成分にはさまざまな効果があるという研究結果や、幹細胞コスメを使ってお肌の調子が良くなったという口コミがたくさん報告されています。

幹細胞コスメにヒトの幹細胞そのものが入っていないのには次のような理由があります。

幹細胞はサイズが大きく肌に浸透しない

まず、「幹細胞の大きさ」を考えてみます。

細胞というのは、たんぱく質の固まりですが、大きさ(分子量)は1000万以上とかなり大きいです。

対して、肌表面はもっと細かい網の目のようになっています。例えばテニスボールはラケットの網目よりずっと大きいですよね。

お肌の内部に入り込もうと思うと、500以下の小さいものでないと無理だと言われています。

コラーゲンなどの場合は細かく砕く(ペプチド化)ことによってサイズを小さくすることが可能ですが、もし幹細胞に肌内部で働いてもらいたいのなら、砕くわけにもいきませんよね。

つまり幹細胞そのものをコスメに配合しても、お肌の表面にとどまるだけで肌内部で新しい細胞として増えてくれることはありません。

それどころか、幹細胞に限らず、分子量の大きいたんぱく質はアレルギーの原因となりやすいので、通常コスメに配合されることは少ないのです。

安全性が確立されていない

幹細胞は何の細胞にでもなれて増殖できるというすばらしい性質をもつ反面、無限に増殖を続ける=ガン細胞になりやすい、というリスクが伴います。

もし、今後技術が進歩して、コスメに配合された幹細胞が表皮や真皮に届いて肌の一部となり増え始めたとすると…。

「細胞が増えてお肌が若い頃みたいに再生した♪」という可能性だけでなく、「増殖が止まらなくなって皮膚がんになった」という危険性も同時にあるのです。

化粧品に配合できるのは厳しい安全基準をクリアした成分しか許可されていません。上記のようなリスクがないと確認され「幹細胞入りコスメ」が発売される日が来るのはかなり先になると言えるでしょう。

法律でも禁じられている

そもそも、化粧品・コスメを商品化するにあたっては、厚生労働省の化粧品基準で「感染のおそれがある物を含む等その使用によって保健衛生上の危険を生じるおそれがある物であってはならない」と定められています。

このため、市販の幹細胞コスメの原料となる「培養液」は、幹細胞はもちろん、破片すら完全に取り除かれているんです。

まだ医療現場でも実用化されていない

現在、ES細胞やiPS細胞を含む幹細胞による再生医療はすごい勢いで研究が進んでいます。

とはいえ、実用化されているのは一部の白血病等にとどまり、ほとんどはまだ治験(希望する患者さんだけに、試験的に治療を行うこと)の段階です。

そのような状態で、誰でも買える化粧品にポンと幹細胞が配合できるかというと…もちろん答えはNO!ですよね。

幹細胞の培養は非常にデリケートな条件のもとでも失敗することが多々あり、もし化粧品のボトルに詰めたとしても細胞が生きていられないのは目に見えています。

おわりに

以上、幹細胞コスメに「幹細胞そのもの」が入っていない理由を解説してみました。

理由を聞くと納得ですが、コスメの広告だけ見ると、まるで幹細胞が入っているかのように思えることもありますよね。

幹細胞そのものではなく、エキスにすごい効果がある」と覚えておいて下さいね。

それではまた次回~!

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